エンジニア千葉 一輝

東京大学医学部健康総合学科卒業。その後、株式会社ビービットに入社にてWebマーケティング業務に従事。2018年より株式会社cotreeに入社し、エンジニアとしてサービス開発を担当。

社員紹介の第三弾では、エンジニアの千葉さんをご紹介します。開発の責任者としてcotreeのサービスの土台を作っています。

物事を論理的に捉える思考力と知性で、日々の課題を解決、改善へと導いてくれます。
その一方で、穏やかな安心感があり面倒見の良い千葉さんの周りはいつも、あたたかい空気に包まれています。

大学時代にメンタルヘルスを学び、偶然が重なりcotreeに入社した千葉さん。それまでの原体験や、cotreeを通じて取り組みたい課題など、その想いを綴っています。是非お読み下さい。


偶然の積み重ねの結果

cotreeに転職した経緯を振り返ってみると、偶然の積み重ねだったな、と実感します。

大学4年生の時、櫻本さんにTwitterで声をかけられたことが、cotreeに出会ったきっかけでした。
その後、仕事のヒアリングで櫻本さんと再会する機会があり、色々と話す中で「cotreeに入らないか」と誘われました。

帰ってから少し悩んだものの、結局、その日のうちにcotreeに転職することを決めました。
新卒で入社して、9ヶ月のことでした。

「なぜすぐに転職を決めたのか」ということを改めて考えると、“企業としてメンタルヘルスをやる”ことに携わってみたかったのが大きな理由だったなと思います。

周囲からズレてしまう人が周囲と馴染む方法

子供の頃から、心の病が身近にある環境で育ってきました。

僕が物心がついた頃から、母親は統合失調症でした。
普段はそれほど症状は重くないのですが、知らない人との会話の中などでストレスがかかると、その後1ヶ月くらい陽性症状が出てしまう、そんな母親でした。

急性期は母親を自宅で一人にしておくことができず、父親や僕が学校や会社を休んで、母親に付き添うこともありました。
他の家族や友人にも心の病を持つ人が多かったように思います。

僕自身も、何か診断を持っているわけではないのですが、昔から、ふざけているわけではないのに、ふとした時に周囲の常識からズレた知覚をしている、ということがよくありました。
引っ越した先の学校で馴染めなかったり、部活の仲間から「何を言ってるかわからない」と言われたりと、周囲と馴染むのが苦手な子供でした。

実際、大学生の時に受けたWAIS-Ⅲの結果には、

「重要なポイントに目を向けることなど目で見て理解することが不得手である」
「曖昧な情報に対する因果関係の理解の苦手さや視覚的情報を理解することが不得手であり、コミュニケーション場面において困難があると推測される」

と記載されています。

そういった環境の中で、

「意図せずして周囲からズレてしまう人にとって、周囲に馴染むことは、とても難しい課題ではないだろうか?」

という問題意識が芽生え、大学に入学してからはメンタルヘルスの勉強に励むようになりました。

『活動』

大学でメンタルヘルスを学問として学んだことは、自分の人生に大きな影響が与えたと思います。

何より大きかったのは、知識を得るにつれ、“自分で変えられるもの”と”自分ではどうしようもないもの”を切り分られるようになったことです。

そこから、周囲に合わせるだけでも、拒絶するだけでもなく、変えられないものを受け入れ、変えられるところから少しずつ変えていく姿勢を大学では学ぶことができました。

そんな学びに伴って、居場所作り活動や当事者活動を行なっている人との出会いから、自分でも『活動』を始めるようになりました。
読書会を開いてみたり、当事者研究会という会を主催してみたり、即興劇のワークショップをやってみたり。

周りからズレてしまう自分たちだからこそ、自分たちが欲しい場所は自分で作ろう、という想いで様々な『活動』を展開しました。
『活動』を続けるうちに、リアルでもインターネット上でも多くの人とのつながりが生まれ、「周囲と馴染めない」という悩みは消えていきました。

できれば、そういった『活動』をそのまま仕事にしていきたかったのですが、仕事として食べていくイメージは見えず、新卒ではメンタルヘルスとは関係のない会社に就職しました。

“居場所を作ること”と”居場所を続けていくこと”

就職活動中に、メンタルヘルスを事業としてやっていくことはなかなか難しいのが現状なのだなと感じました。
支援者––医者や臨床家––として活動していく道はあっても「自分たちが欲しい場所を自分で作る」という姿勢で事業として成立しているところはあまり多くありません。
僕の周りには精神障害の当事者活動をやっている人が多かったのですが、話を聞いてみると、経済的な継続性がなく、一部の善意の運営者に負担が集中し疲弊している、という団体がほとんどでした。

「心の問題で苦しむ人のニーズを満たすサービスを市場の中で、ちゃんと継続性のある形で成立させるにはどうしたらいいのだろうか?」

僕がcotreeに惹かれ、転職した最大の理由は、この疑問が自分の中にずっとあったからだと思っています。

心の問題で苦しむ人のニーズを満たす継続性のあるサービス

cotreeで働いていて、医療でも福祉でもなく、企業としてメンタルヘルスをやっているということがとても刺激的です。

事業としてやっている我々は、医療制度や福祉制度の枠に縛られず純粋に”ユーザのニーズに応える”サービスを考えることができると思っているからです。

メンタルヘルスの歴史を紐解けば、医療や福祉制度が当事者の利益を阻む形で機能してきた事例は枚挙に暇がありません。
なぜなら、支援者が必ずしも当事者のニーズに添う形で関わるとは限らないからです。

僕自身振り返ってみても、「陽性症状中の母親に対してひどい関わり方をしてしまったな」と反省したことは多々あります。

また、医療や福祉は全てのニーズをカバーできるわけではありません。
数の少ない少数派のニーズも全て、医療や福祉が担うのは現実問題として難しいからです。

しかし、少数派のニーズであってもそこに苦しんでいる人がいるならば、それを満たすサービスが生み出されていくことは望ましいのではないでしょうか。
そんな時、市場だからこそ担うことができる部分もたくさんあると、僕は考えています。

もちろん、cotreeのサービスを作る上ではユーザだけでなく、カウンセラーや売り上げのことも考える必要があります。
カウンセラーの論理や市場の論理と、ユーザの論理の間をつないで形にすることが、自分のミッションかなと思っています。

“心の問題で苦しむ人のニーズを満たすサービスを、継続性のある形で、ちゃんと形にしていくこと”

僕はエンジニアとして、これからもこの課題に取り組んでいきたいと思っています。

『活動』と『サービス』の接続

cotreeで働きはじめてそろそろ1年というところですが、あれよあれよという間に開発の責任者になってしまいました。
全然技術も経験も足りない中で、社外のエンジニアに教えてもらいながら必死に日々のタスクを乗り越えています。

cotreeのメンバーとして働きはじめてから、学生の頃に自分が考えていた妄想が、実際に形になっていく瞬間にしばしば遭遇します。

cotreeのメンバーは、一人一人が「この人にしかできない」という領域を持っています。
メンバーと協力して仕事をする中で、決して自分一人では作れなかったようなサービスが生まれていくことが、働いていて楽しい瞬間です。

WEBエンジニアとしての仕事ではありませんが、最近では『カウンセリング研究会』という企画を立てました。
カウンセリングの使い方をカウンセラーとカウンセリングユーザの両者が集まって研究する、という企画です。

当事者研究という活動を学生時代からやってきた自分の経験を活かすことができた誇らしい事例なのですが、cotreeを応援してくれるユーザの方々やカウンセラーとのつながりがあって初めて実現できる企画だと思っています。

cotreeが、そういった新しい活動の可能性を秘めた場となっていて、毎日ワクワクしながら働いています。

■インターン生からの一言■

大学でメンタルヘルスに関する知識を得るにつれ、”変えられないものを受け入れ、変われるところから少しずつ変えていく姿勢”を学んだという千葉さん。

心が弱っているときには、「どうせ自分なんて……」など暗い感情に支配されがちになってしまいます。しかし千葉さんの言うように、自分の心との向き合い方を知り、自分らしさを大切にしながら変われるところを変えていくという姿勢を持つことが大切だと感じました。

企業としてメンタルヘルスに携わるからこそ、純粋にユーザーさんのニーズに応えることができる。苦しんでいる人のニーズを満たすサービスを提供し続けられるよう、埋もれがちでもあるユーザーさん一人一人の課題に、丁寧に取り組んでいきたいと、心から思います。

オンラインカウンセリングのcotree
スタッフ採用ページ

ページ上部へ戻る